140字小説 · 19日 4月 2018 020 桜の花びらが積もった地面から柔らかい新芽が顔をのぞかせている。蓬を摘んで餅をつくったのは、もう何年前の春だろう。変な匂いだと言った私を笑う母の笑顔を思い出すから、春が嫌いだ。夏の海も嫌いだ。秋の夜も嫌いだ。雪を走る夜行列車の小さな窓も嫌いだ。嫌いなんだと、嫌いなあなたに伝えたいのに。 tagPlaceholderカテゴリ: