140字小説 · 19日 4月 2018 004 ふと顔をあげると向かいの座席に座る人びとは皆目を閉じ俯いていた。湿気がこもる車内は窓ガラスを白く煙らせている。手もとの文庫本に目を戻すが、やがて眠気が這い寄ってきた。今ここで寝たらたくさんの人の夢と混じりあったりしないだろうか。湿度が互いの匂いを運び合うように。 tagPlaceholderカテゴリ: